冬の澄んだ空気の中、子供たちが心待ちにする学校行事「スキー教室」。その一瞬の輝きを切り絵に込めました。舞台は、眼下に息を呑むような伊那の街並みが広がる伊那スキーリゾート。初めてリフトを降りた瞬間の高揚感や、雪上を滑り出す子供たちの純粋な思いを表現したいとカッターを執りました。
先日、この作品が新聞に掲載された折、スキー教室のコーチを務める友人から「スクールの皆で一緒に読んだよ」と嬉しい知らせをいただきました。絵を通じて、雪山で汗を流す子供たちやコーチの皆さんの情熱と繋がれたことは、制作者としてこの上ない喜びでした。

スキー教室
……伊那市 伊那スキーリゾート……
「わあ、すごい!」
「町があんなに小さく見えるよ」
初めてのリフトを降りてゲレンデの頂上に立った子どもたちの口からは、驚きと感動が混じった声が上がりました。眼下に広がるのは息を呑むほどに真っ白な大パノラマ。遠くには冬の澄んだ空気の中に伊那の町並みが広がり、さらにその向こうには雄大に連なる南アルプスの山々がそびえ立っています。
このグループは、スキーを履くのが初めての子どもたちです。午前中はゲレンデの麓で、スキー板の履き方から丁寧に教わりました。長くて重い板に苦戦しながらも、転び方や止まり方といった基礎を何度も繰り返し練習しました。雪の感触を確かめるように一歩一歩踏みしめた時間でした。午後になるといよいよ初めてリフトに乗り、ゲレンデの頂上に立ったのです。
「よし、今度はあそこまで滑り降りるよ」
コーチの声に、
「えっ、本当にここを滑るの?」
自分たちが滑り降りるんだとハッと我に返りました。見下ろす斜面は、麓から見ていた時よりもずっと急に見え、緊張で体が強張るのが分かります。
「大丈夫。午前中あんなに頑張ったんだから」
コーチの優しい声掛けに励まされていざ滑り出すと、午前中の地道な練習が実を結びます。コーチに続いて一列に並び、雪面に綺麗な弧を描きながら滑り降りていきます。風を切る感覚を掴むうちに子どもたちの表情からは緊張が消え、代わりに「滑れる」という確かな自信と喜びが湧き上がってきているようです。真っ白な世界を自由に駆け抜ける楽しさを、子どもたちはその体いっぱいに感じていることでしょう。