伊那谷の桜の季節、地元の人たちに愛され守られている桜が各地にあります。
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エドヒガンザクラ
……南箕輪村 北殿……
樹齢二百八十年を超える南箕輪村北殿のエドヒガンザクラは、旧伊那街道沿いに位置しかつての旅人たちにも親しまれ、現在も訪れる人々にその美しさを惜しみなく分け与えています。
この桜の幹の太さは七メートル近く、高さは十七メートルほどにも及び、圧巻のたたずまいです。根元には六基の庚申塔が並んでおり、その中でも1740年(元文五年)に建立された塔は、この桜が植樹された時期とされています。地域の人々は代々この桜の木を大切に守り育ててきました。開花すると桜に夜間点灯が行われ、幽玄な夜桜の景色を楽しむことができる特別な時期となります。
この桜のすぐ南側には南箕輪小学校が、少し上ったところには南箕輪中学校があります。
「わー、花びらが舞ってくるよ」
「桜の花びらキャッチできるかな」
下校時の小学生たちが、風で舞い上がる花びらに夢中になっている声が聞こえてきました。
昔は「桜」を「櫻」と書き、「木」と「嬰」から成り立っていました。「嬰」は「みどりご」と読んで若葉のように生命力に溢れた小さな子どもをさす意味もあったそうです。その「嬰」の横に寄り添う「木」は、この北殿のエドヒガンザクラが小中学校の子ども達の成長の様子を長い間温かいまなざしで見守ってきている存在と重なります。
地域の宝であり時を超えて多くの人々の心に深く刻まれたこの桜は、これからも変わらぬ美しさで訪れる人々を迎え続けることでしょう。