きのこ

秋の味覚の「王様」と言われるマツタケや、雑キノコの発生が鈍っている。厳しい残暑と少雨の影響で「山が乾いている」状態が続いているためだ。直売所では入荷が滞り、「この時期のこんな品薄状態は記憶にない」とため息をつく。山のキノコに関わる両地域の関係者は「今秋は厳しいかもしれない」としながら、まとまった雨がタイミング良く降り、少しでも収量が上向くことを願っている。(長野日報新聞より)

　今年は山のキノコが少ないようです。それでも伊那谷は雨の降った後などに山に入ると、色とりどりのキノコと出会うことができる地域です。

キノコ狩り

　やっと食べられるキノコを見つけた時の喜びは、まさに宝探しそのもの。山道を登り腰をかがめ目を凝らし、じっくりと探し歩いて出会うことのできる山のキノコたち。収穫する時の楽しさに加え食べた時の極上の味わいに惹かれて、キノコ狩りにはまってしまう方が多いのもうなずけます。林に足を踏み入れると、食べられるキノコばかりでなく色とりどりのキノコたちが出迎えてくれます。赤や紫の鮮やかな色彩のものが生えていたり、薄暗い中にハッとするような真っ白い傘が群生していたり、切り株の中からぬめっとした傘が折り重なるように顔を出していたりと、様々な姿を見せてくれます。

　また、キノコと一緒に普段は気に留めない足元の落ち葉や苔等の地面の世界にも目を向けさせてくれます。このキノコは松林に多いとか、斜面がどの方角に向いているとか、日向か日陰か、湿った土地か乾いた土地か等によって生えるキノコの種類が違う「自然の決まりごと」に気がつくことがあります。野生のキノコに接するということは、季節を感じるとともにその土地の文化を知るということでもあるように思います。

　今まで見たことのないものに触れる経験は、大人になればなるほど少なくなってきます。びくに入れた食べられるキノコは少なめでも、こんな貴重な「知らない」「初めて」に触れる経験は尊いものです。