今年、辰野町で開催されたほたる祭りのポスターに私の切り絵作品を選んでいただき、先日感謝状を受け取りました。その時、切り絵の文字を示しながらこんな挨拶をしました。
「蛍」という漢字は今はここが点三つですが、昔の字は燃える「火」という字をふたつ並べて書きました。ふたつ並んだ「火」が表しているのはたいまつだそうです。

火の粉が飛び散って光る様子を、蛍が飛び交う姿にたとえたのが「蛍(螢)」という漢字です。街灯も電灯もなかったいにしえの頃、夜は真っ暗だったことでしょう。その中で周りを明るくする松明などの火の存在は、今以上にとてもありがたいものだったと想像されます。その飛び散る火のような蛍の光を、初夏の風がおだやかな数日の間だけ見ることができるというのは、特別なことだったと思われます。

その様子に 畏敬の念やいとおしさ、たまらない愛情などを感じたことでしょう。

私は教員の最後がこの辰野町の小学校でした。ほたる祭りを通して、子ども達は家族や地域の大人たちが一生懸命関わりほたる祭りを愛し楽しんでいる姿に接してきました。子どもたち自身も参加することで、辰野町のすばらしい自然やお祭りへの思いを感じ取り、ふるさとへの愛着を深めていく姿をかけがえのないことだと感じていました。
そんな思いを込めて作った作品がこれです。こうしてほたる祭りのポスターにしていただいて私自身が感謝しております。今日は町長さんから感謝状までいただき本当にありがとうございました。
「辰野町に行ったら町のいたるところにこのポスターが貼られていたよ」「新宿のバスターミナルに貼ってあったよ」などと知り合いから聞きました。コロナ禍を終え4年ぶりに制限なしでの開催となり、予想以上に多くの人が訪れたそうです。







