
梅雨が明け、本格的な夏を迎えるころに行われる宮田村の祇園祭。今年はあばれ神輿なども4年ぶりに行われて、大盛会なお祭りになったようです。

あばれ神輿
……宮田村 祇園祭……
津島神社の石段の最上段まで担ぎ上げられた神輿(みこし)が、屋根を下にしてひっくり返されようとしています。周りの観客が息を呑んでそれを見守り一瞬あたりが静まり返った、その時です。
「行くぞ」
掛け声とともに神輿を担いできた男衆の手が一斉に離され、ドーン、ガシャンと鈍い音を上げながら真っ逆さまに神輿は石段を転げ落ちました。石段の下に止まると今度は下で待ち構えていた男たちが一気に神輿に飛び掛かり、板や柱を壊してはぎ取っていきます。石段の上から下へと幾度となく落とされるうちに神輿の形はみるみる変わり、しまいには真柱一本を残すだけとなって祇園祭のクライマックス「あばれ神輿」が終わりとなります。
観客の目当ては壊れた神輿の破片を持ち帰ることです。それらの破片を家の屋根に上げることで、無病息災などのご利益があると古くから信じられています。
宮田村の祇園祭は江戸時代から続く歴史あるお祭りで、「あばれ神輿」の珍しい風習から「天下の奇祭」と呼ばれています。以前は七月十四日に開催され近年は七月第三土曜日とされていますから、梅雨明けの頃に行われるお祭りです。当時の人たちが暑さの厳しい季節を迎えようとする時期に流行り病や台風災害といった災難を祓い清めようと、この祭りを盛大に催していたのではないかと言われています。
私はこの熱いお祭りに幼少のころから惹きつけられていました。わくわくして家族と出かけた思い出がよみがえってきます。今年もこの季節がやってきました。