標高1650mの宮田高原。見渡す限りの大自然の美しさに目を奪われます。残雪の中央アルプスの峰々と、朱色や黄色のレンゲツツジ、そして青い空と新緑の緑、これらのコントラストが鮮やかです。
高原のところどころに有刺鉄線の柵が残っていて、数年前まで夏の間に乳牛を放牧していたことを想像させます。昔、私の父も飼っていた大切な牛を麓からここに連れてきていました。
牛は夏の高温多湿が苦手です。標高が高く冷涼で程よい起伏があるこの場所は、草をはんだり寝そべったり自由に体を動かしたりと、牛にとっては大好きな場所だったことでしょう。夏が終わり家に戻ってきた牛がひと回り大きく健康的になったと、父が嬉しそうに話していたことを思い出しました。
レンゲツツジは葉に毒の成分があるので牛たちは食べません。放牧されている牛たちはレンゲツツジ以外の植物をムシャムシャと食べ続けるので、レンゲツツジは群落となっていきます。今では新しく植樹されたものも加わって、一面レンゲツツジの花に覆われるようになりました。
宮田高原の爽やかな風を全身に浴びながら、放牧されていた牛の気分を想像しました。