今年の桜は開花が早く、ここ伊那谷でも三月のうちに桜の便りが一斉に聞かれるようになりました。高遠城址公園の桜は有名ですが、他にもたくさん地域が誇る桜の木があります。箕輪町上ノ平の一本桜もそれはそれは素敵な桜です。



上ノ平城跡の一本桜
……箕輪町 南小河内……
高台にあり遠くからも目立つ一本桜を目指して、住宅地を抜け細い上り坂を進むと桜の巨木の真下に出ます。下から見上げると青空をバックに躍動感ある枝と降りかかるほどの花が迫ってきて、見る角度によってさまざまな姿や色合いを見せてくれます。
その巨木を通り抜けて振り返ると、今度は桜の向こうに田畑や家々が並び、その奥に雪をいただいた中央アルプスを望むことができます。薄ピンクの花と樹勢の良さ、雄大な伊那谷を望むロケーションは息を吞むほどの美しさです。
この桜は「上の平城跡」の南土手にあるエドヒガン桜です。「上の平城跡」は平安時代からの伊那源氏発祥の地と伝えられ、戦国時代まで使われていたそうです。城跡周りは環境が整えられ小さな駐車場も設置されて、地元の人々により愛され守られているのが伺えます。エドヒガン桜はソメイヨシノの片方の親にあたり、花は淡いピンク色でソメイヨシノよりも一足早く開花の時を迎えます。
たった一本でこうして人々を魅了する「上ノ平城跡」の一本桜。高台に根を張り長年花を咲かせ続けてきた一本桜からは、あふれるほどの生命力を感じます。エドヒガン桜の花言葉は「心の平安」。この桜を見て心が落ち着く方がたくさんいることでしょう。