二月から三月のまだ寒い日が続く中でも、春の訪れを感じさせてくれる花を見つけると、ほっと温かな気持ちになります。駒ケ根高原大沼湖で、そんなフクジュソウの花に出会いました。




フクジュソウ
……駒ケ根市 大沼湖……
西に中央アルプス、東に南アルプスを望むことができる大沼湖。氷が解けカモ達が羽を休めている湖面には、雪の中央アルプス宝剣岳の姿が美しく映っています。この季節は森の中にある大沼湖を訪れる人はまばらで草木もまだまだ彩りが少なく、静かな落ち着いた雰囲気に包まれています。そんな中、近くの土手に春を告げるフクジュソウが咲いているのを見つけました。地面近くにまぶしいほどの黄色い花を咲かせていて、その辺りがパッと明るくなったように感じられました。
フクジュソウは光や温度に非常に敏感で、昼間でも陽が遮られると数分で花がしぼみ、再び陽が当たるといつの間にか花が開くのだそうです。寒い時期に花の中の温度を下げないための工夫をしているのだとか。フクジュソウは花に蜜を持たないのですが、その暖かな花の中に誘われるように昆虫が集まってきて受粉をしてくれるのです。まだまだ寒くて活動能力が低下している昆虫にとっても、フクジュソウの花は体が温まり恋人との出会いも期待できるこの上ない存在なのでしょう。
森の中を散策しながらこうして春を告げる植物を探して歩くのは、この時期ならではのとっておきの楽しみ方かもしれません。