この季節、田畑の片隅に菜の花を見つけることがあります。多くはカブ、ハクサイ、野沢菜などの取り残しが春になり花を付けたものだったりします。
大きくならなかったので放っておいたカブが、気づいたら大きくなってきれいな花をつけるのは、春の訪れを体いっぱいに表してくれているようです。
もちろん一面の菜の花畑もいいものですが。
おぼろ月夜
「先生『おぼろ月夜』って知ってる」
「菜の花ばたけに 入り日薄れ~♪って歌のことかな」
「そうそう。夕方お母さんとお兄ちゃんと散歩に行ったんだよ。そうしたらちょうど満月が昇ってくるところで、お母さんが『おぼろ月』だって教えてくれたんだ」
「ぼんやりと浮かぶ大きな月って感じかな」
「そう大きな月。お兄ちゃんが音楽で習ったって『菜の花ばたけに…』って歌い出したんだよ。そしたらお母さんも歌い始めてさ。二人とも歌いながら散歩してたんだよ。家に着いたら、おばあちゃんやおじいちゃんまで歌うので、びっくりしちゃった」
菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて におい淡し
里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙のなくねも かねの音も
さながら霞める おぼろ月夜