辰野西小学校在職中に、47年前につくられた第2体育館を壊して新しい体育館を建設してくださることになりました。その時に思ったのは、子ども達がこの第2体育館を使ってきた先輩の思いに寄り添うこと、そして、ただ工事をして新しい体育館ができたというのではなく、子どもたちにも可能な範囲でかかわらせてもらうことができたらいいなあということでした。さらに、子ども達が思い切り遊べる体育館をつくろうという町や地域の皆さんの思い、設計の方や建設にかかわる人たちの思いを感じられるような取り組みをしたいと考えました。
町の教育長さん、設計士さん、現場監督さん、作業員さんなどいろいろな方のお話を直接お聞きしたり、児童会を中心に子どもたちで体育館の名前を付けたり、床下には子どもたちの絵や願いを描いた「床下の神様」の活動をしたり、玄関には全校児童が作り上げたタイルアートも飾ることができました。
そんな中で一つ困ったことは、町からあおぞら体育館の入り口にはめ込む切り絵作品の依頼がきたことです。その大きさもさることながら、大切な体育館の玄関にずっと残るものでもあり、私の作品でいいのかと責任の重さを感じました。「あおぞら体育館」の名前に合わせて、青空の下で元気いっぱいに仲よく遊ぶ子どもたちの姿と、裏面には四季の移り変わりの中で生き生きと遊ぶ子ども達の姿を表現しようと考え、休日や平日の夜、校長室に大きな作品を広げて製作を進めました。子ども達や関係者の皆さんの思いの詰まった体育館に関わらせていただくことができ、大きな切り絵作品がなんとか出来上がった時の喜びはひとしおでした。