秋の澄み切った青空のもと爽やかな風に蕎麦の花がなびき、伊那谷のあちこちで見頃を迎えています。蕎麦の栽培が盛んな飯島町本郷地区にも、まさに白い絨毯のような蕎麦畑が広がって「アルプスの山々を背にした蕎麦畑」「蕎麦畑の向こうを通過する飯田線の列車」など、ここでしか見られない師玉の風景に出会い心がほっこりします。 畑にしばらくたたずんでいると、ハチや蝶々、アブなどさまざまな虫たちが蕎麦の花の蜜を求めて飛び交っているのを目にします。 耳を澄ませばその羽音も聞こえてくるほどです。 蕎麦の花は「他家受粉」といって他の株の花粉でないと受粉しません。めしべがおしべより長い「長柱花」とおしべより短い「短柱花」があり、実をつけるためには長柱花には短柱花の花粉が、短柱花には長柱花の花粉が必要で、花の蜜を吸いにくる昆虫たちに蜜を与えながら受粉してくれるのを待っているのだそうです。 蕎麦畑には蜜を求めてやってくる虫たちを狙うカマキリやカエル、トンボなども集まって、さまざまな生きものたちで賑わい豊かな生態系をつくっています。 この蕎麦が収穫されると、十月下旬から十一月にかけて新蕎麦の季節が訪れます。今年はこの虫たちに思いを馳せながら、大好きな新蕎麦を味わいたいと思います。 続きを読む: 9月