アマガエル 「また雨が降ってきた」 窓の外を眺めて男の子がつぶやきました。ここ数日雨が続いていたのですが、今朝は雨は落ちていなくて外で遊ぶことができると楽しみにしていたところだったのです。そんな声にクラスの子ども達も窓に目をやりました。 「あれっ、あそこ見て、カエルがこっちを見ている」 ガラス窓の外側にアマカエルが張り付いています。子ども達が窓に駆け寄りましたが、そんなことお構いなしかのようにカエルは逃げることもなくガラスに腹を丸出しにしてくっついています。必死にしがみついているかと思いきや、まあるく凹んだお腹を吸盤みたいにガラスにくっつけて意外に平気な顔をしているように見えます。子ども達がその腹のあたりをまじまじと見ていると、 「わぁっ、こっち見た」 キョロリと目を動かしながら、顔をこちらに向けました。 「あっ」 次の瞬間、ぱっと跳ねたかと思うと窓際のアジサイの葉の上に見事に飛び乗りました。 「さようなら、またおいでよ」 「先生、あのカエル、私たちの勉強を見に来たのかなあ」 「そうかもしれないね」 雨の憂鬱さが窓に来たお客さんのおかげで少し和らいだようです。 続きを読む: IMG_6606